生のまま丸かじり
真っ赤に熟してからがおすすめ
REPORT
雄大な大地と、湖や山を望む豊かな自然
壮瞥町ならではの環境で農業を行う清水農園へ
広大な大地と地域によって異なる気候風土を生かして、北海道ではさまざまな作物が大きな規模で生産されています。
洞爺湖の南東岸に面し、有珠山と昭和新山の2つの火山を有する有珠郡壮瞥町は、北海道の中でも夏は涼しく冬は温暖な気候が特徴。町内には粘土地と火山灰地の土壌が広がり、それぞれの土質に合わせて小麦や甜菜、小豆、リンゴやサクランボ、じゃがいもやトマトなどがつくられています。
有珠山と昭和新山を背景に、雄大な自然の中で農業を営む清水農園。農園3代目の清水達雄さん・英子さん夫婦は、自身の代から新たな挑戦としてフルーツトマトのハウス栽培を始めました。長年試行錯誤しながら育てたこのフルーツトマトは、10度以上という糖度の高さはもちろん、糖度と酸度のバランス、トマト本来の香りがしっかりと楽しめる、今や農園を代表するトマトに。その美味しさをもっと楽しんでもらいたいと直売所やジェラート店もオープンし、地元の人からも愛される味となっています。
「フルーツトマト栽培の一番のポイントは土づくり」という清水さん。粘土地である農園の土壌を生かしながら何年も土をつくり続けて分かったのは、カルシウムの重要性だといいます。サンゴの石灰石や卵の殻、カニの殻などを土に混ぜ、カルシウム分が豊富な農園独自の土をつくりました。
フルーツトマトの品種の中でも、清水農園では香りの良さに特徴がある「桃太郎T93」という品種を育てています。その香りの良さを引き出すためにリン酸とカリも十分に土へ加え、またトマト栽培に欠かせない窒素も通常のトマトの3~4倍は多く加えているそうです。
納得のいく土づくりができるようになるまでに費やした歳月は、およそ10年。この養分がたっぷりと含まれる土で、清水農園の甘みが強く味の濃いフルーツトマトは安定して育っているのです。
養分豊富な土づくりの次に大切なのは、苗づくり。なぜなら、普通の苗木だと肥料分が強すぎる土に負けて、枯れてしまうなどして上手く育たないからです。
そのため、清水農園では苗を1本ずつ鉢に入れて、たっぷりと養分を含んだ土で個別に育てていきます。若い頃からこの土に慣れておくことで、植え替え後の土壌にも耐えうる根をしっかりとつくっておくのです。
さらに育苗時の水やりもポイント。鉢一つひとつの土に丁寧に水を入れていき、鉢の下には木材を敷いて水はけを良くし、鉢ごとに水分量にムラができないよう一定にして育てます。そして徐々に水やりを控え、少ない水分量でも育つ苗木にしていくのです。
清水さんは、水やりをするときに苗一つひとつと会話しているといいます。「だからトマトの観察もすごくするし、会話しているから自分の子を育てているようなものですよね」と笑顔の清水さん。小さな苗のころから一つずつ手間と愛情をたっぷりかけるからこそ、美味しさがギュッと詰まったフルーツトマトが出来上がるんですね。
RECOMMEND
農園直伝!おいしいトマトの食べ方
生のまま丸かじり
真っ赤に熟してからがおすすめ
フレッシュジュースで
完熟をスロージューサーでつぶして、
何も加えずそのままで。
飲みきれないときはひき肉を
加えて煮込めばミートソースにも!
RECIPE
農園直伝!おいしいトマトのレシピ
❶トマトのお尻に十字に切り込みを入れ冷凍する
❷凍った❶を3秒ほど水につけて皮をむく
❸トマトをざく切りにし、ほんの少し水を加えてミキサーで砕く
❹途中でハチミツやメープルシロップを入れ、なめらかになるまでミキサーにかけて完成
ポイント:器に盛った後、お好みでトリュフオイルやハチミツをかけても。❷で皮をむいたトマトは、そのまま鍋で煮込んでソースにするのもおすすめ。
❶お好みの具材を食べやすい大きさに切り、鍋で炒める
❷トマトをざく切りにし、鍋に加えて蓋をする。時々混ぜながら弱火で10分
❸具材が柔らかくなったらカレールーを加え、味がなじむまで弱火で煮込んで完成
ポイント:圧力鍋やホーロー鍋なら切った具材を鍋に入れて火にかけるだけ! 電気圧力鍋なら具材を入れて放置でOK
トマト本来の味を楽しめるので常温がおすすめ。直射日光を避けたなるべく涼しい場所なら、1週間くらいまで追熟可能。
冷やしすぎるとトマトの糖度と酸度が分かりにくくなるため、食べる前に冷蔵庫から出して温度を少し戻して。ただし温度変化を繰り返すと傷みやすくなるので注意。
トマトソースやシャーベットなど調理に使う場合は冷凍も。甘い方が好みなら、常温で追熟してから冷凍庫へ。
ガクのまわりに出る濃い緑色とトマトの赤い色の差が強いほど、糖度が高い!
トマトのお尻から走る放射線状の白い筋がくっきりしているほど、美味しい!
手のひらに収まるサイズながらずっしりと重みを感じるのは、果肉が詰まっている証拠!
糖度と酸度のバランスがとれた、香りの良いフルーツトマトをつくっています。10度以上のフルーツトマトを食べると、その食味の違いがきっと伝わるはず。濃くて甘い味わいを楽しんでください!